遺産分割協議書の作成基本

相続のトラブルは、何が何でも絶対に避けたいものです。
しかし財産はどの相続人も「欲しい」と思うものなので、どうしても避けられません。
「うちは仲が良いから大丈夫」という所であっても、財産が絡めば絶縁状態になることもあるのです。

でも相続のトラブルは100%防ぎきるのは難しいものの、トラブル発生率を抑え込むことならば可能です。
その鍵を握るのが「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書があったが為に、トラブルを回避出来たという事例は沢山あります。
またトラブルが既に発生していても、協議書のお蔭で問題が大きくならずに済んだということもあるのです。
だから遺産分割協議書は相続手続きだけでなく、トラブル防止にも一役買っているのです。

では遺産分割協議書とは、どういうものでしょうか。
まず相続が発生すれば、相続人同士で遺産をどのように分配するのかを話し合います。
そして相続人全員が納得したのならば、誰がどの財産を受け継いだのかを書類に書き起こします。
この書類が、「遺産分割協議書」です。

ただ絶対に協議書を作成しなければならないと、法律で決められている訳ではありません。
大袈裟に行ってしまえば、面倒だと感じたのならば協議書作成は省いてもらっても構わないのです。
でも協議書は不動産登記や口座名義変更手続きの際に、必要となる書類です。
更に相続税の申告にも協議書の提出が求められるので、「面倒だから」とさぼる訳には行きません。
例え相続財産がそんなに遺されていなかったとしても、誰にどの財産が行き渡っているのかを明確にしていなければ、後で大きなトラブルにも繋がります。

遺産分割協議書を作成するとなるとかなり難しく、それこそ専門家に頼まなければならないと思う方もいらっしゃるでしょう。
法律的にも効力のある書類を作成するとなると、敷居高く感じるのも当然です。
でも協議書には特に決まった書式はなく、基本的には自由に作ってもらっても構いません。
横書きでも縦書きでも、手書きでもパソコンでも自由自在に作れます。
インターネットを探せば、遺産分割協議書のひな形が多数公開されています。
公開されているひな形を元にして作成すれば、素人でも簡単に出来るでしょう。
ただし注意して頂きたいのは、誰がどの財産を取得したのかが一目で分かるように記すことです。
例えば土地を相続したのならば単に「土地を相続した」と書くのではなく、どこの何という土地を相続したのかを事細かく記しておきます。
そして相続人全員が協議に納得したことを証明するために、相続人のサインと捺印を押せば完成です。

ではどのようにして作成すればいいのでしょうか。
まずは、誰が見ても「遺産分割協議書」と分かるようにします。
そして誰が読んでも、最初から最後まできっちり読めるように仕上げます。
小学生みたいなことを言うようですが、「誰が見ても分かるようにする」というのは大きなポイントとなります。
遺産分割協議書は法務局や税務署等に提出する、大事な書類です。
ご自分が内容を理解して読めるものでも、手続を行う人間が読めなければどうしようもありません。
パソコンで作成すればある程度綺麗に仕上げられるかと思いますが、パソコンでも手書きでも”分かりやすさ”を心がけるようにしましょう。

尚遺産分割協議書は、1枚あれば十分です。
でも万が一紛失するようなことがあれば、最初から作り直さなければいけません。
最初から作り直すとなると、他の相続人達にも迷惑がかかります。
だから念のために遺産分割協議書は、相続人全員分を準備するようにして下さい。

完成した遺産分割協議書は、様々な場面で活躍します。
オーソドックスな所と言えば、不動産登記と預貯金の相続でしょう。
不動産を相続したのならば、名義を被相続人から相続した人に換える必要があります。
もし未来永劫売り払うつもりがないというのならば名義変更の必要はないものの、例え売り払う予定が無かったとしても名義変更は必要です。
また口座の相続手続きを行う際にも、遺産分割協議書が必要となります。
ただし金融機関によって必要書類が変わるものの、協議書の提出を求めていない金融機関は無いと言っても過言ではありません。
他にも相続税の手続きや相続にまつわる裁判の時も、協議書は効力を発揮します。

ただ協議が中々まとまらず、協議書の作成が上手く行かないケースも考えられます。
相続人同士の仲が悪かったり、遠くに住んでいたりすると、どうしても難しくなってしまいます。
協議は時間をかけてじっくり行っても構いませんが、相続税が発生しているのならばなるべく早く終わらせるのが先決です。
もし協議が上手く進まない場合は、家庭裁判所の調停を利用します。
裁判所と聞くと変に身構える方もいらっしゃると思いますが、あくまでも“調停”なので気を張る必要はありません。

遺産分割協議書を作成しなければすぐさま捕まるというものではないものの、作成しなければ大きなトラブルになってしまいます。
協議書は簡単に出来るので、必ず作っておくようにして下さい。